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【用語解説】居室とは

今回は、建築基準法における【居室】について解説します。

【居室】
〜この記事を読むとわかること〜

  • 居室の定義とは
  • 居室の条件とは
  • 具体的にはどんなものが居室なの?
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目次

居室とは

【居室】とは建築基準法では、次のように規定されています

【居室】
居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。

建築基準法第2条第四号

一見わかりそうで、とてもわかりにくいので
3つに分けて解説します

居室の条件とは

【居室の3つの条件】
①居室 居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために
②継続的に使用する
③室

条件についてそれぞれ解説します。

条件①
【居室 居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために】を理解するために
用語「屋内的用途」を知るとわかりやすいです。

屋内的用途とは、次のような場所のことをいいます。
・居住、執務、作業、集会、娯楽など
 人がいたり集まったりする場所
・物品の陳列、保管、格納など
 人がいたり集まったりする場所じゃないけど、物が置いてあったりする場所


居住、執務、作業、集会、娯楽、物品の陳列、保管又は格納その他の屋内的用途(抜粋)

引用元:建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例 2017年度版

それでは居室とは?
屋内的用途のうち、「物品の陳列、保管又は格納その他」を除いた部分
条件①の【居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために】に該当しています。

【補足解説】
使用目的の種類は法文や解説書でいくつか示されています。
・通行の用に供する
・避難の用に供する
・乗降ロビーの用に供する
・廊下・階段の用に供する部分
・屋内的用途に供する
 など

条件②
【継続的に使用する】は、次のように解説されています。

「継続的に使用する」の意義は、特定の者の継続的使用のみならず、特定の室が不特定の者によって、入れかわり立ちかわり継続的に使用される場合を含むものである。(抜粋)

建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例 2017年度版

条件③
【室】とは

当たり前のようで、他ではあまり着目されていないけど
とても重要で基礎的な用語「室」について解説します

【室とは?】
規定される
ある一定の空間の単位で
事務所ビルを例にすると
風除室、エントランスホール、廊下、便所、給湯室、事務室、会議室など呼称される空間がそれぞれ室です。
明確な区分ができる場合とそうでない場合がもちろんありますが
主に次のような要素で決まります。

○使われ方の違い
○壁、パーテーション、扉・シャッターなどの区画
○床、壁、天井など仕上げ・しつらえの違い

居室・非居室の例示

居室の具体的な例示

住宅の居間、寝室、応接室、書斎
守衛室、当直室
工場の作業場
集会室
映画館の客席
ホール
公衆浴場の脱衣室、浴室
病院等の待合室
病院等のX線室、操作室及び暗室(小規模なものを除く。)
事務所の事務室、会議室
商店の売場、店員休憩室
集荷場施設等の常時作業を行う荷捌場
ホテルのロビー
喫茶店の客席、厨房
ホテルの配膳室
観覧席

建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例 2017年度版

居室として扱わない具体的な例示

住宅の玄関、廊下、階段室、便所、手洗所、浴室、物置、納戸等
住宅の台所・家事室で小規模なもの(他の部屋と間仕切等で明確に区画されているもの。

建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例 2017年度版

【サービスルーム=非居室ではない】
マンションの住戸などで「サービスルーム」と表記されているスペースでは用途が不明確のため
もし、非居室であれば物置、納戸などの名称及びその用途にする必要があります。
「DEN」も同様です。

居室には環境・衛生に関する制限、そして居室、廊下などには、防火・避難に関する制限がかかります。
居室の判断はとても重要なので慎重に判断しましょう。

法令ごとの居室・非居室の扱いの違いが若干異なるのでそこはまだ別で解説したいと思います。

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この記事を書いた人

・建築基準法関連の業務を10年以上やっています
・指定確認検査機関の中の人(現役です)
 (プライベートでは2児の父)
・資格は一級建築士、建築基準法適合判定資格者(いわゆる主事資格)など
・得意分野は意匠系、排煙規定、検査済証がない既存建築物の法令調査など
・実績は7,000件以上、戸建住宅、事務所といった小規模・非特殊建築物から工場、劇場、百貨店、空港等の大規模・特殊建築物など様々物件の審査・検査・調査・相談などの豊富な経験があります

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