今回は、建築基準法における【屋外への出口等の施錠装置の構造等】について解説します。
【屋外への出口等の施錠装置の構造等】
〜この記事を読むとわかること〜
- どんな建築物に制限があるの?
- 制限対象は?制限内容は?
- 施錠装置に電気錠は使えるの?
屋外への出口等の施錠装置の構造等とは
屋外への出口等ではセキュリティ上施錠していることが多いですが、停電や火災など非常時にいざ避難しようというときに出口の戸等に鍵がかかっていて解錠できない、では意味がありません。
特に安全な避難が要求される建築物については施錠装置について制限が設けられています。
【まとめ】屋外への出口等の施錠装置の構造等について概略がわかる一覧表
適用対象・除外建築物、規制対象・内容 | 根拠条文 (法第35条他) |
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適用対象建築物 | ① | 特殊建築物 (法別表第1(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する) |
(1)項 ・劇場 ・映画館 ・演芸場 ・観覧場 ・公会堂 ・集会場 など |
・令第117条第1項 ・児童福祉施設等:令第115条の3第一号 ・物品販売業を営む店舗:等:令第115条の3第三号 |
(2)項 ・病院 ・ホテル ・旅館 ・下宿 ・共同住宅 ・寄宿舎 ・児童福祉施設等(幼保連携型認定こども園を含む) など |
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(3)項 ・学校 ・体育館 ・博物館 ・美術館 ・図書館 ・ボーリング場 ・スキー場 ・スケート場 ・水泳場 ・スポーツ練習場 など |
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(4)項 ・百貨店 ・マーケット ・展示場 ・キャバレー ・カフェー ・ナイトクラブ ・バー ・ダンスホール ・遊技場 ・公衆浴場 ・待合 ・料理店 ・飲食店 ・物品販売業を営む店舗(床面積10m2を超えるもの) など |
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② | 中高層建築物 | 階数≧3 | ||
③ | 無窓居室(令第116条の2第1項第一号)を有する階 | 無窓居室 採光有効面積<居室面積1/20 |
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④ | 大規模建築物 | 延べ面積>1,000m2 | ||
※①〜④ | 別の建築物とみなす | 建築物が開口部のない耐火構造の床又は壁で区画されている場合における当該区画された部分 | ・令第117条第2項 ・平成28年4月22日国土交通省告示第695号 |
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建築物の二以上の部分の構造が通常の火災時において相互に火熱又は煙若しくはガスによる防火上有害な影響を及ぼさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものである場合における当該部分
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適用除外建築物 | 法令の規定により人を拘禁する目的に供せられる建築物 | ・刑務所 ・拘置所 ・精神科病院(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に規定する) など |
令第125条の2第1項本文 | |
規制対象 | ①:屋外に設ける避難階段に屋内から通ずる出口 ②:避難階段から屋外に通ずる出口 ③:①・②以外の出口のうち、維持管理上常時鎖錠状態にある出口で、火災その他の非常の場合に避難の用に供すべきもの |
令第125条の2第1項各号 |
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規制内容 | 出口に設ける戸の施錠装置 ①:屋内からかぎを用いることなく解錠できるものとしなければならない。 ②:戸の近くの見やすい場所にその解錠方法を表示しなければならない。 ③:①・②以外の施錠装置の構造及び解錠方法の表示の基準は、国土交通大臣が定める。(未制定) |
・令第125条の2第1項本文 ・令第125条の2第2項 |
上記建築基準法による制限の他、建築系の条例や消防系の条例(火災予防条例など)で追加で制限が定められている可能性もあるのでご注意ください。
【Q&A】よくある疑問点、注意点について
関係法令等
関連する法令(法第35条、法別表第1、令第116条の2、令第125条の2、平成28年4月22日国土交通省告示第695号、
概略だけでなく根拠法令を必ずチェック!
お願いします。
令第125条の2:屋外への出口等の施錠装置の構造等
【令第125条の2:屋外への出口等の施錠装置の構造等】
建築基準法施行令第125条の2
1 次の各号に掲げる出口に設ける戸の施錠装置は、当該建築物が法令の規定により人を拘禁する目的に供せられるものである場合を除き、屋内からかぎを用いることなく解錠できるものとし、かつ、当該戸の近くの見やすい場所にその解錠方法を表示しなければならない。
一 屋外に設ける避難階段に屋内から通ずる出口
二 避難階段から屋外に通ずる出口
三 前二号に掲げる出口以外の出口のうち、維持管理上常時鎖錠状態にある出口で、火災その他の非常の場合に避難の用に供すべきもの
2 前項に規定するもののほか、同項の施錠装置の構造及び解錠方法の表示の基準は、国土交通大臣が定める。
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